出典元:Oceans8Movie (@oceans8movie) | Twitter
はじめに
「オーシャンズシリーズ」を手がけたスティーブン・ソダーバーグ作品は、内容こそ違えど、構成はどれも同じだ。絶対に盗みがうまくいくという点では、ワクワクが半減する人もいるかもしれない。
オーシャンズ8の監督・脚本はゲイリー・ロス。別の監督ではあるが、構成はやっぱりほぼ一緒。で、びっくりするほど盗みがうまくいく。「でしょうね」ってぐらいうまくいく。映画としての面白みは、そこにはない…
と思いきや「やあ…面白かった」と思わされる映画なのでそこそこムカつく(笑)。そこそこムカつきつつ、あまりにもサンドラ・ブロックとケイト・ブランシェットの演技がたまらなく素敵だったので書く。ほめちぎる。
この映画は、性格の悪そうなババア2人がめちゃくちゃかっこいい映画である。
オーシャンズ8
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— Oceans8Movie (@oceans8movie) 2018年8月9日
あらすじ
ダニー・オーシャンの妹、デビーは5年8ヶ月の服役の末に刑務所から出所した。出所時の面接で「二度と犯罪はしない。普通の生活を送りたい」と言っていたデビーだったが、出所後次々と服飾品を盗み出していった。
デビーはファッションの祭典、メットガラで高級な宝石を一挙に盗み出すという計画を立てていた。壮大な計画を実行に移すべく、デビーは次々と仲間を見つけていったが、彼女の目的は単に宝石を盗み出すことではなかった。
サンドラ・ブロックの万引き
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— Oceans8Movie (@oceans8movie) 2018年8月24日
映画冒頭から「ああ、たまんねー」と思ったのは大女優サンドラ・ブロックによる堂々とした万引きである。
出所後いきなり行う犯罪の規模は小さいものの、現実的に考えたら「こいつ…微塵も反省してねえ…」ってな具合の堂々ぷりである。
欲しい化粧品を手にとると、レジに行って「返品して!」と怒るサンドラ・ブロックasデビー。そう、レシートなしで返品を要求するめんどくせえクレーマーに成りきることで、買ってもいない化粧品を手に入れるのだ。
もう、いきなり、「うわ…こいつ」感満載である。
店員もクレーマーと化したデビーのペースに飲み込まれ「いいわ、返品しない。大きな袋頂戴、持ち帰るから」というデビーにタジタジするだけで終わる。
ここから先も、ホテルに泊まっていた客に成りきることで無断に部屋を借り、人の服を勝手にくすねたりするのだけれど、圧倒されるのは堂々とした万引きだ。
映画冒頭から魅力される軽やかな犯罪。あまりに軽やかなので「ほほーう」と感心してしまうが、犯罪、ダメ、絶対。
ケイト・ブランシェットのやさぐれ具合
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— Oceans8Movie (@oceans8movie) 2018年8月6日
サンドラ・ブロックの堂々たる万引きの後、映し出されるのは美しきケイト・ブランシェットの姿だ。
ロックシンガーのようなどちゃくそかっこいい衣装に身を包み、ウォッカを水でかさ増しするケイトasルー。これまたやってることはちゃっちいが、「うーん、やだな」と思わせる罪な行動だ。
彼女はサンドラの相棒である。サンドラが刑務所に入れられるまで、ペアで犯罪を楽しんでいた。相棒に呼び出されたケイトのけだるーい、やさぐれた雰囲気がたまらない。
なんかもう、犯罪にへっちゃらな空気をぷんぷん漂わせているのだ。
低い声でぼやくケイトに「エリザベス」や「キャロル」で感じられた気品は0。
いや、若干彼女自身の気品が出ちゃってるけど、いるじゃん!なんか、ロックシンガーみたいにしゃがれた声出すいかつい美人なおばさん!!!あんな感じ。
サンドラ・ブロックの復讐心
なお劇中で、サンドラが捕まったのは一緒に悪いことをしていた恋人の裏切りが原因だと明かされる。
ケイト含め仲間達に「個人の復讐を巻き込んでんじゃないわよ!」とつっこまれるが、元恋人をハメる気満々の彼女。魅力的な雰囲気を漂わせながら、元恋人を泳がす、泳がす!
出所後彼に会った時も、計画の舞台になるメット・ガラで接触したときも、とかく彼にべたべた触れることもなく、だからといって親しくもせず、怒りを見せることもなく…とにかく彼を泳がす。
じわじわと追い詰める。
元恋人を犯人に仕立て上げるときの自信に満ちた表情。あれは完全に最上級の復讐心だ。
(抜かりなく復讐するとき、人はめちゃめちゃ冷静に追い詰めていくんだなあ…)と思った。
サンドラとケイトの互いへの強い信頼
私怨を持ち込むサンドラに対し、はっきりと「そんなんなら、わたしはおりる!」話すケイトだが、結局のところ彼女の相棒に対するサポートが華麗な犯罪を成功に導いたと言える。
また計画を実行中のケイトにピンチが迫った時、機転を利かせて対応するサンドラの姿もいい。
メット・ガラからお目当てのものを盗み出し退散するとき、美しいドレスに身を包んだケイトをまっすぐに見つめるサンドラから、長年の相棒に対する強い信頼が伝わってくる。
サンドラとケイトの距離が少し近すぎるようにも感じるが、十数年、共に犯罪を繰り返してきたのであれば、あのくらいの距離感になるのかもしれない。
この映画のみどころは、性格の悪そうなババア2人が最初から最後までかっこいいところだ。
オーシャンズシリーズで一番好き
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— Oceans8Movie (@oceans8movie) 2018年6月14日
オーシャンズシリーズを手がけたスティーブン・ソダーバーグ監督作品の中では「ローガン・ラッキー」が一番好きだ(オーシャンズシリーズじゃないのかよ)。だが、「オーシャンズ○○」の中では8が一番好きだ。すまん、スティーブン。面白かったよ、ゲイリー。
女性8人の犯罪に、歴代のオーシャンズシリーズにはない軽やかな狡猾さや清々しさを感じたからだ。
聞く人によっては「性差別だ!」って憤怒するかもしれないけれど、「オーシャンズ8」は、女性だけのグループの良さが表れていると思った。したたかさ、チームワーク、絶妙に干渉しない感じ。あれは、女性や女性らしさ特有だと感じている。
というわけで、かっこいいババアになりたいそこのあなた。かっこいいババアの清々しい姿を見届けたいそこのあなた。サンドラ・ブロックとケイト・ブランシェットの清々しい姿に、ぜひやられてくださいませ。
では。
◆本日のおすすめ◆
アダム・ドライバーの無愛想な弟役にベタ惚れする映画です。