ユニークな設定が話題を呼んだホラー映画「イット・フォローズ」。上映されたのは2014年のことだが、U-NEXT で配信されていたため鑑賞。
やっぱり、めちゃくちゃ面白い。
イット・フォローズ
あらすじ
主人公ジェイは、好意を寄せる男の子ヒューとデートをし、一夜をともにする。デート中に少し様子がおかしかったヒューは、事を終えると睡眠薬を染み込ませた布でジェイを眠らせてしまう。
意識を取り戻したジェイは、下着姿のままイスに縛り付けられていた。ヒューは話す。
「あるモノがつけてくる。俺が感染した“それ”をさっき車の中で君にうつした。“それ”は時には知人に、時にはまったく知らない人に姿を変える。いろんな人間に見えるが、実態は1つだ。今から起きることをよく見ているんだ。」
“それ”はゆっくりと歩いてくる。“それ”は人にうつすことができる。“それ”はうつされた者にだけにだけしか見えない。“それ”は様々な人間の姿になり変わる。 “それ”はうつした相手が死んだら自分に戻ってくる。そして、“それ”に捕まったら必ず死が待っている。
設定にしびれる
「セックスすると伝染する」
このホラー映画のストーリー設定だ。セックスすると、ただひたすら歩いて追いかけてくる”それ”に取り憑かれる。”それ”に追いつかれると必ず死ぬ。
「取り憑かれて死ぬ」という設定自体は聞いたことのある内容だが、セックスが媒体なのは面白い。
初見では、セックスで伝染するという設定から「性病や生きるものに必ずつきまとう死そのものの隠喩なのでは?」と深読みした。
が、数回映画を観ていくうちに「単純に面白いと思っただけかもしれない・・・」と思った(笑)。
が、それでいいのだ。
次に紹介する童貞の存在が、いい味出すのだから。
童貞が頑張る
この映画の主人公は、意中の相手とのセックスで”それ”を伝染される女性である。”それ”から逃げ惑う彼女を友人たちがサポートするのだが、友人たちの中に1人、主人公に恋する少年がいる。
この彼、なかなか彼女と親しい関係に進めない。
セックスしたら伝染することを告げられたとき、「僕が君を守る(だからセックスさせて)」と話すのだが、彼女はプレイボーイを選択する。その時の少年のやきもきした視線がもどかしい。
この映画、ホラー映画というジャンルなのだが、話が進むうちに「これ、童貞の少年が、好きな子を守るためにセックスしたい映画なんじゃ…」と思えてくる。
そのぐらい、彼が頑張る映画なのだ。
”それ”の存在にゾワゾワする
セックスした少年少女を襲う”それ”の存在が、絶妙な気色悪さでゾワゾワする。
”それ”は姿形を変えて、淡々と歩きながら少年少女を追い詰める。時に裸の女性の姿で、老婆の姿で、身近な人の姿で…しかも歩いてやってくるから、違和感はあるものの日常に紛れ込んでくる。
わたしが一番嫌な気持ちになったのは(「この映画、大好き!!!」となったのは)、他の人に伝染させたはずの”それ”が主人公のもとへ戻ってくるシーン。
車に乗って遠くへ逃げようとする彼女と彼女の友人だが、彼女だけが、屋根の上で立ち尽くす裸の”それ”を見てしまう。立ち尽くす”それ”の不気味さ。本当に嫌な気分になる。
一度聞いたら忘れられない音楽も◎
なお、この映画の独特な音楽も注目してほしい。
♪ちゃーちゃららちゃーらー、ちゃーちゃららちゃーらー、という音楽は忘れようにも忘れられない。
♪きゃんきゃんきゃんきゃんきゃんきゃんきゃんきゃん、という"それ"が近づくときの音楽はホラー映画らしい焦燥感を生み出しながらもめっちゃキャッチー。
♪きゃんきゃんきゃんきゃんきゃんきゃんきゃんきゃん、と言いながら恋人に近づいてみよう。イット・フォローズごっこができるぞ!
とにかく一度観たら忘れられない、というかハマるホラー映画だ。
何度も観るうちに怖さは薄れ、なぜか"それ"の登場にワクワクするようになるので、ドリフの大爆笑感もなくはない(志村、後ろ後ろ!である)。
色や構図の美しさも魅力。
まあ、とにかく観てくださいよ。
一緒にイット・フォローズごっこしようぜ。
では。