はじめに
わたしは今、自宅のある新宿と実家のある青梅を行き来する生活を始めている。
平日は青梅でライター仕事や作品制作に取り組む。休日は夫と過ごしつつ、仕事のために外出し、記事のネタや写真を収集している。
新宿から青梅は電車で1時間半ほどで、遠くも近くもないが、電車が苦手・人混みが苦手なわたしにとって、時間によってはまあまあつらい。
が、この生活を3週間ほど続けてみたらさすがに慣れてきたし、家族と過ごす時間はいつだって楽しい。
そんな折、フリーランスについて書こうと思った。
介護との両立を例に、フリーランスの長所と厳しさをお話する。
フリーランスでよかった理由
介護と仕事の両立
子供を授かる予定のないわたしにやってきたライフイベントが介護だった。
家族に介護を必要とする人ができた。介護が大変なのは当たり前で、病気によって生じたこの結果は仕方がないとしか言いようがない。
今家族の一人が介護休暇をとっているが、「時短勤務で働けるなら、辞める必要はない」とわたしは言った。
わたしが仕事しながら見ていられるからだ。
わたしの仕事はライターで、ブロガーで、絵描きである。パソコンがあればできる。スマホがあればできる。絵筆があればできる。自宅でできる。
人の心を支えることができる
仕事をしながら見ていられるとはいえ、そのことがきちんと役に立てているだろうか、「わたしは果たして家族の役に立てているだろうか」と悩んだ時もあった。
そんな時家族に言われたのが、
「いるだけで全然違う」
という言葉である。
引きこもり系フリーランスを名乗るわたしだからこそ、「いる」ことができて、役に立てているのだ。
これは会社勤めをしていて、毎晩ヘロヘロだった自分にはできない。
大切な人や家族との時間を一番にできる
自分で仕事のスケジュールを組み立てられる(というか組み立てざるを得ない)からこそ、他者に拘束される時間がない。そのため、「家族との時間>仕事の時間」に自分で調整できるのは大きい。
働きたくないわけではない。だけどわたしにとって、何よりも大切なのは「楽しく毎日を生きる時間」である。
いつ人が病気になるか、事故に遭うのか、死んでしまうのか、誰にも分からない中でわたしは「生きる時間」を優先した。そしてそれが優先できているのは、わたしがフリーランスだからだろう。
仕事としてはおすすめしない理由
サラリーマンでいられなかっただけ
ただし、こうも思う。
「わたしはフリーランスになったわけではなく、フリーランスにしかなれなかっただけだ」と。わたしはサラリーマンという働き方ができなかっただけだと。
サラリーマンの生き方がうらやましい。チームで何かをつくりあげる姿に憧れを抱く。サラリーマンにかぎらず、大好きな映画やお芝居の世界もそうだ。チームに憧れる。
だけどわたしは人間が大好きで大嫌いで、過剰なまでに人間関係に怯えるようになって、「常に誰かと対面して、彼らと共に1つのこと成し遂げる」が怖いのだ。
だからわたしに「サラリーマン辞めなよ、フリーランスになりなよ」を言う資格はないな、と思った。
何度も言う、ラクではない
それから、何度でも言うがフリーランスはラクなわけではない。自由は何一つラクじゃない。ラクはラクで、自由は自由。別物だ。
介護と仕事を両立することは「やりやすい」と感じているが、ラクではない。
今までやっていた仕事方法は、一日中パソコンにむかって集中し、自分のさじ加減で休憩を挟んでいたが、今は仕事をする時間が細切れだ。仕事中に話しかけられることもある。音がすると集中できないタチなので、はじめは調子が狂った。
仕事のやり方も内容も調整できたが、今までの方法をガラッと変えることになるから、困惑することもある。
安易にラクだと思ってほしくない。
たった一人では、できなかった
それから、わたしは「時間>金」を優先しすぎている自覚がある。稼ぎは少ない。わたしひとりなら生活できるが、夫や家族を支えるだけの収入は持ち合わせていない。
「フリーランスだから介護と向き合える」わけではないのだ。周りの人の助けがあるからこそ、引きこもり系フリーランスであるわたしが活かされている。それを理解しなければならない。
「フリーランスです」と言うと、「ご家族と一緒にいられていいですね」 と看護師さん介護士さんに安心してもらえる。
でもそれは、わたし単体で家族を介護しているからではない。現役サラリーマンとわたしが一緒にいるから、フリーランスが活かされるのだ。
フリーランスの話をする理由
最後に。
今回は介護を例に、フリーランスの長所と厳しさをお話した。
フリーランスの話をしようと思った理由は、言葉は悪いけれど「キラキラしていないフリーランスの側面」を伝えたいと思ったからだ。
過剰な言葉でサラリーマンを煽る一部のフリーランスの姿を見たとき、「それだけじゃない姿」を見せられるのが今のわたしなんじゃないかと思った。フリーランスは全員が全員キラキラしているわけではない。
フリーランスVSサラリーマンの構図を見るのはツラい。
話し合うべきことは「VS」なんかじゃないのだ。その人が一番心地よい形で働き続けることが大事なんであって、安易に「会社辞めちまえ」だなんてフリーランスのわたしたちに言えた言葉じゃない。
こんな現在の心境と環境があいまって書いた。
少しでも、誰かのお役に立てれば幸いです。
では。
◆本日の一冊◆
家族と向き合う姿を描いた漫画。立ち読みの時点でボロ泣き。