映画『グレイテスト・ショーマン』は映画というより、豪華なMVだね。(ネタバレあり)

こんにちは、齋藤吐夢です。

音楽はめちゃくちゃかっこよかった。TOHOシネマズ新宿のDOLBY ATMOSで観てきましたが、主題歌『The Greatest Show』のベースが響く、響く!

The Greatest Show

The Greatest Show

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 ただ、「映画というよりMVだった」という結論を先に伝えておきます。

 

 

映画にしてはストーリーが軽すぎる

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「映画というより・・・」という発言になったのは、ストーリーがあまりにもサラッとしすぎているからだ。内容が薄いというよりは、とにもかくにも軽い

伝えたいメッセージ性のようなものはなく、ただただ「サーカスの創始者P.T.バーナムってこんなんやったんで〜」と音楽に載せて紹介してるだけ。そんな風に感じた。

フリークス達を集めて、ぶっちゃけ言ってしまえば「見世物小屋」をつくった人なのだから、もっとたくさんの困難に立ち向かう映画なのかと思いきや、結構なんでもうまくいく。

 

現実的に見れば残酷なセリフかもしれないが、もっと苦悩が見たい映画的には物足りない

 

バーナムは善人なのか金儲けキャラなのか

特に主人公バーナムは、当初ひっそりと暮らすフリークス達に救いの手を差し伸べるような人間かと思いきや、結構バッサリと「金儲けのため」と発言する。まあ、ここまでは良い。そんなこったろうとは思う。

ただ、もっと金にがめつい、劇中で蔑称される「ピーナッツ(成り上がり)」っぽさがあるのかと思いきや家族を愛す善人感が前面に押し出される。だからバーナムという人物像を私達はとらえきれない。魅力的なキャラクターとは言えない

 

だからと言ってムカつくキャラでもない。もっと、もっと言えば、超どうでもいい人物だ笑。

 

彼は途中、欧州一のオペラ歌手に惚れ込み、彼女のプロデュースに躍起になる。しかしオペラ歌手の客を目の前にして、サーカス集団を言うなれば”恥”と捉え、彼らを追い出すシーンにも、正直残酷さが足りない。なんか人物像として中途半端なのだ。

 

差別描写の少なさ

もちろんこのご時世、存分にフリークス達の差別描写を取り入れれば、それこそ批判の的になるのかもしれないが、フリークス達は終始見世物でしかない。映画を鑑賞する私達の前でも、ず〜っと見世物だ。ただの見世物だ。

個性豊かなフリークスのキャラクター像にワクワクしていたのだが、彼らの迫害されてきた歴史や背景は全く見えてこなかった。彼らの口から「今までは散々だったけど、今はサーカスが私達の家なのよ」というセリフが出てきて、終わりだ。

 

だから登場人物達に厚みがないと思った。

 

苦労シーンをばっさりカット

バーナムは、はじめっからサーカスを開くつもりではなかった。剥製など奇妙な物を置いた博物館を開いて人々を集めようとしていた。しかし「剥製のような死んだものより、フリークスのような生きているものを!」とフリークスを募集することになる。

続々と集まるフリークス達。バーナムの博物館はたちまち人々を魅了するショーの会場となって・・・とここまでめちゃくちゃトントン拍子で進む。

 

そう、苦労シーンがほぼないのだ。

 

そもそもフリークス達が、そんな簡単にバーナムに従うだろうか。散々好奇の目を浴びせられてきた彼らが、自ら進んで”見世物”になるのに、もう少し葛藤ってないのか知らん

 

この私の言葉(↑)こそ差別なのかもしれないが、でも何かを始めるときに抱える不安や覚悟、それを乗り越えてこそ・・・みたいな描写がごっそり抜けていると感じた。

 

自分で道を切り開きすぎなのでは?!

そしてこの映画が映画っぽくないなあ・・・と感じた理由には「登場人物全員が、自分で道を切り開けている」ことにあると思っている。

登場人物同士が干渉しあうことで、困難を乗り越えるもんだと思っていたが、驚くほど全員が全員、自分の力だけで困難を乗り越えてしまう。なかなか感動的な一曲『This Is Me』が歌われる瞬間も、正直拍子抜けである。

散々好奇の目で見られ、ショーの最中にも、フリークスを快く思わない輩から物を投げつけられたりする。そんな彼らが「それでも私は私!」と歌い始めるきっかけが、”バーナムが上流階級の集まりに彼らを招待しなかった”、ただそれだけである。

 

いやいや、もっと『This Is Me』が似合う場面あったよ?!

 

『This Is Me』は、フリークス達がサーカスに参加することを決意するシーンで流れるもんだと勝手に思っていた私も悪いが、もっともっと迫害を受け、「それでも乗り越えるんやでワシらは!」って時に歌うもんじゃないのか?!と思った。

 

バーナムの妻・チャリティに注目

ただ、この映画でめちゃくちゃ「良い・・・」と感じた女優がおりまして。

主人公バーナムが愛し続けた妻・チャリティを演じたミシェル・ウィリアムズ。2011年公開の映画『マリリン 7日間の恋』でマリリン・モンローを演じ、ゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞しています。

チャリティは上流階級の出身で、でも仕立て屋の息子であるバーナムに惹かれ、彼と結婚することに決めた女性。貧乏生活に身を置いても、バーナムといるのが心の底から楽しいといった演技が印象的で。

そして「すごい!」と思ったのは、どんな衣装を着ていても上流階級生まれな雰囲気が漂い続けるところです。魅力的な配役だなあと思った。そして彼女のおかげで、主人公を演じるヒュー・ジャックマンがめちゃめちゃ成り上がりに見えるという・・・笑。

 

ミシェル・ウィリアムズは映画『ブロークバック・マウンテン』でも見事な演技を見せます。結婚した男が実はゲイで、彼が本当に好きな人と再会(してイチャイチャ)するのを見て愕然とする姿、超良いです。

 

映画というより、豪華なMV

た・だ・ね!

全体的に映画に重要な要素がすっぽ抜けた印象があって、曲がめちゃくちゃ良く感じたからこそ「俳優がいっぱい登場するめちゃくちゃ豪華なMVだな〜」という印象は否めない

 

演技が下手、歌が下手、ダンスが下手・・・って人は一人もいないので(ザック・エフロンはちょっとダンスが下手に見える)満足できない映画ではないけど、THE・映画を求める人には物足りないんじゃないでしょうか!

では。

 

◆本日の一本◆

とはいえやっぱり『This Is Me』はかっこよかったなあ・・・。

This Is Me

This Is Me

  • Keala Settle & The Greatest Showman Ensemble
  • サウンドトラック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes