レディ・ジェーン・グレイの処刑で泣きかけた『怖い絵展』【〜12月17日まで】

こんにちは、齋藤吐夢です。

出典元:上野の森美術館 - 展示のご案内 - 「怖い絵」展

 

絵を鑑賞して、泣きそうになったのは初めて

 

「怖い絵」ばかりが並んでいるので、絵画鑑賞にしては薄ら暗い印象がありましたが、『怖い絵展』の表紙になっている《レディ・ジェーン・グレイの処刑》本当に衝撃的でした

 

 

怖い絵展

www.kowaie.com

作家・中野京子さんによる名著「怖い絵」が、とうとう展覧会として開催されることになった、それが今回の「怖い絵」展です。

 

「怖い絵」という本は読めば読むほど、その絵に隠された”知ってはいけない”ような闇に触れることになるので、今まで以上にその絵が好きになり、その絵を見るたびゾッとする体験ができます。

噂には聞いていましたが大盛況でした!会場となった上野の森美術館は、他の美術館に比べるとミニマムな会場だと思うのですが・・・溢れんばかりの人、人、人です!

 

頭に残る衝撃

そんな「怖い絵」展鑑賞後の感想は、

 

「ぞっとした」

 

これに尽きます。

 

驚くほどぞっとする展示でした。特にぞっとしたのはタイトルにも書いた《レディ・ジェーン・グレイの処刑》

 

雑〜な解説をすると、特別、王妃になりたかった訳ではない16歳の少女が、王妃にさせられた挙句、たった9日で処刑される・・・その時の様子を描いたもの。

 

彼女自身が罪を犯した訳ではないのに斬首されることから、彼女は潔白や純潔を意味する白いドレスに身を包み・・・という絵を見る前から、解説の時点でげんなりしてしまう

 

何にぞっとしたかというと、白いドレスの美しさ。

 

美しすぎて、その美しさがよりいっそう、この理不尽すぎる処刑の残酷さを際立たせるんですよ。絵を見た瞬間、息が止まるかと思いました。息をのみ、泣きかけた。自分でもびっくりした。

 

残酷で美しい絵だと思った。

 

嫌〜な気分になった。

 

歴史の血生臭さがすごい

怖い絵は様々な章で分けられていて、神話の世界だったり、悪魔だったり、幻視だったりとあるのですが、一番怖いのはやはり”歴史”でしょう。先に紹介した《レディ・ジェーン・グレイの処刑》もそうですが、人の世の血生臭さが結局一番怖い

 

私が足を止めてしまった絵に《ボルジアの犠牲》という絵があります。

出典元:【美術展】『怖い絵展』────物語を知れば、絵画はもっと楽しくなる! - メモスト~ArA's Memory Storage~

 

私が釘付けになった理由は、少々不謹慎ですが、左下に映る暗殺された人物の、もう”物”になってしまった身体に魅了されたからです。力なく横たわる身体と、鉄臭さがこちらまで匂ってきそうなほど生々しい血痕に、ものすごく魅了されました。 

 

明るい色味の《チャールズ1世の幸福だった日々》も、印象的な美しさとは裏腹に、彼らに忍び寄る革命の歴史を知ってしまうと、ある幸福な日々が、幸福”だった”日々に変わる瞬間が恐ろしく感じて、その絵を見ていられなくなります。

出典元:【美術展】『怖い絵展』────物語を知れば、絵画はもっと楽しくなる! - メモスト~ArA's Memory Storage~

 

怖い絵展の注目作品の解説を読むならこの1冊(↑)。

 

怖い絵展の難点

これから観に行く人へお伝えしたい注意点を3つ挙げますね。

 

大混雑!

まず、ご存知の方も多いと思いますが、驚くほど混みます。私は朝9時に上野に到着し、朝ごはんを食べてから並んだのですが、9時20分の時点で長蛇の列が出来ています(開館時間は10時)。

 

チケットを購入後、並び、10時の開場までにかかった時間は約60分

 

twitter.com

公式ツイッター(↑)で、現在の待ち時間を教えてくれるので、過去のデータをもとに、早め早めに行動するか、3時間待ちでもいいような事前準備をするかしないと、入る前にげんなりするという”怖さ”を味わうことになります

 

館内も大混雑!

で、わかっているとは思いますが、館内も大混雑です。

 

絵画は順番に見る必要がありません。なので空いている場所から見ることをおすすめします。

 

全くもって人が動かないエリアもありますが、そんな人だかりの出来ている場所の絵が、自分が本当に観たかった絵・・・ということは、実はそんなにないと思ってます笑。

 

臨機応変に空いていて観やすい絵からぞわぞわするのも、楽しく鑑賞するコツだと考えております。

 

よろしければぜひ。

 

薄ら暗さにご覚悟を

また「怖い絵」なので、当たり前かと思いますが、華やかな展示は一つもございません笑。館内は、予想以上に明るく、中野京子さんの解説も読みやすいのですが、絵そのものはやたら薄ら暗いのでご注意を笑。 

 

くっら〜い、いや〜な気分になる絵ばかり見ることになります。ある程度は「げんなりするんだろうな」みたいな気持ちで観ないといかん。

 

そうでないと「行列で疲労し、絵の意味を知って疲労し・・・」で、1日疲れ切ってしまいますよ笑。

では。

 

◆本日の一冊+α◆

絵を見るのではなく”読む”のも面白いので、「怖い絵」未経験ならぜひ。