こんにちは、齋藤吐夢です。
絵を鑑賞して、泣きそうになったのは初めて。
「怖い絵」ばかりが並んでいるので、絵画鑑賞にしては薄ら暗い印象がありましたが、『怖い絵展』の表紙になっている《レディ・ジェーン・グレイの処刑》は本当に衝撃的でした。
怖い絵展
作家・中野京子さんによる名著「怖い絵」が、とうとう展覧会として開催されることになった、それが今回の「怖い絵」展です。
「怖い絵」という本は読めば読むほど、その絵に隠された”知ってはいけない”ような闇に触れることになるので、今まで以上にその絵が好きになり、その絵を見るたびゾッとする体験ができます。
噂には聞いていましたが大盛況でした!会場となった上野の森美術館は、他の美術館に比べるとミニマムな会場だと思うのですが・・・溢れんばかりの人、人、人です!
頭に残る衝撃
そんな「怖い絵」展鑑賞後の感想は、
「ぞっとした」
これに尽きます。
驚くほどぞっとする展示でした。特にぞっとしたのはタイトルにも書いた《レディ・ジェーン・グレイの処刑》。
雑〜な解説をすると、特別、王妃になりたかった訳ではない16歳の少女が、王妃にさせられた挙句、たった9日で処刑される・・・その時の様子を描いたもの。
彼女自身が罪を犯した訳ではないのに斬首されることから、彼女は潔白や純潔を意味する白いドレスに身を包み・・・という絵を見る前から、解説の時点でげんなりしてしまう。
何にぞっとしたかというと、白いドレスの美しさ。
美しすぎて、その美しさがよりいっそう、この理不尽すぎる処刑の残酷さを際立たせるんですよ。絵を見た瞬間、息が止まるかと思いました。息をのみ、泣きかけた。自分でもびっくりした。
残酷で美しい絵だと思った。
嫌〜な気分になった。
歴史の血生臭さがすごい
怖い絵は様々な章で分けられていて、神話の世界だったり、悪魔だったり、幻視だったりとあるのですが、一番怖いのはやはり”歴史”でしょう。先に紹介した《レディ・ジェーン・グレイの処刑》もそうですが、人の世の血生臭さが結局一番怖い。
私が足を止めてしまった絵に《ボルジアの犠牲》という絵があります。
出典元:【美術展】『怖い絵展』────物語を知れば、絵画はもっと楽しくなる! - メモスト~ArA's Memory Storage~
私が釘付けになった理由は、少々不謹慎ですが、左下に映る暗殺された人物の、もう”物”になってしまった身体に魅了されたからです。力なく横たわる身体と、鉄臭さがこちらまで匂ってきそうなほど生々しい血痕に、ものすごく魅了されました。
明るい色味の《チャールズ1世の幸福だった日々》も、印象的な美しさとは裏腹に、彼らに忍び寄る革命の歴史を知ってしまうと、ある幸福な日々が、幸福”だった”日々に変わる瞬間が恐ろしく感じて、その絵を見ていられなくなります。
出典元:【美術展】『怖い絵展』────物語を知れば、絵画はもっと楽しくなる! - メモスト~ArA's Memory Storage~
怖い絵展の注目作品の解説を読むならこの1冊(↑)。
怖い絵展の難点
これから観に行く人へお伝えしたい注意点を3つ挙げますね。
大混雑!
まず、ご存知の方も多いと思いますが、驚くほど混みます。私は朝9時に上野に到着し、朝ごはんを食べてから並んだのですが、9時20分の時点で長蛇の列が出来ています(開館時間は10時)。
チケットを購入後、並び、10時の開場までにかかった時間は約60分。
公式ツイッター(↑)で、現在の待ち時間を教えてくれるので、過去のデータをもとに、早め早めに行動するか、3時間待ちでもいいような事前準備をするかしないと、入る前にげんなりするという”怖さ”を味わうことになります。
館内も大混雑!
で、わかっているとは思いますが、館内も大混雑です。
絵画は順番に見る必要がありません。なので空いている場所から見ることをおすすめします。
全くもって人が動かないエリアもありますが、そんな人だかりの出来ている場所の絵が、自分が本当に観たかった絵・・・ということは、実はそんなにないと思ってます笑。
臨機応変に空いていて観やすい絵からぞわぞわするのも、楽しく鑑賞するコツだと考えております。
よろしければぜひ。
薄ら暗さにご覚悟を
また「怖い絵」なので、当たり前かと思いますが、華やかな展示は一つもございません笑。館内は、予想以上に明るく、中野京子さんの解説も読みやすいのですが、絵そのものはやたら薄ら暗いのでご注意を笑。
くっら〜い、いや〜な気分になる絵ばかり見ることになります。ある程度は「げんなりするんだろうな」みたいな気持ちで観ないといかん。
そうでないと「行列で疲労し、絵の意味を知って疲労し・・・」で、1日疲れ切ってしまいますよ笑。
では。
◆本日の一冊+α◆
絵を見るのではなく”読む”のも面白いので、「怖い絵」未経験ならぜひ。