こんにちは、齋藤吐夢です。
映画ポスターのあまりの美しさと予告編のやさしい雰囲気に惹かれて、ずっと観たいと思っていた映画『パターソン』。ようやっと観ることができました。
びっくりするほど優しい映画だった。
パターソン
この映画について、概要欄や予告のキャッチコピーには「何も起こらない映画」と書いてあることが多いのだけれど、本当に何も起こらない。
それが人によっては非常に退屈かもしれない。
でも実際の人生なんてそんなもんで何も起こらない。
だけど、確実に毎日新しい。それを教えてくれる映画だった。じわじわと「観て良かった」と思える映画だ。
あらすじ
ニュージャージー州パターソンに住む、バスの運転手”パターソン”とその妻ローラ、犬のマーヴィンが送る、何気ない1週間の物語。
とにかく淡々と毎日が過ぎていきます。月曜日〜金曜日までパターソンが淡々とバスを運転する平日と、休日。
本当にただ、それだけ。
パターソンにとっては、感情を揺さぶるという点で”事件”ともいえる出来事はあるけれど、外から見ている私達にとっては本当に”ただの”日常風景でしかない。
でもそれを淡々と映し出すこの映画は本当に綺麗でやさしかった。
監督ジム・ジャームッシュ
アメリカの映画監督であるジム・ジャームッシュ。
ミニシアター系の映画とでもいいましょうか、ある種カルト的な人気、ファンがいて、その対極(要は彼の映画をつまらないと感じる人)もいる・・・そんな映画を撮る監督です。
私は意識していませんでしたが、好きだったね。
以下の吸血鬼映画の記事でも紹介したのですが、
『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』という吸血鬼映画。これはジム・ジャームッシュ節のきいた吸血鬼ものですよ。
『オンリー・ラヴァーズ〜』は、トム・ヒドルストンとティルダ・スウィントンがあまりにも美しすぎて見とれる映画です。
ジム・ジャームッシュといえば、多分こっち(↑)なんだろうけど。
主演アダム・ドライバー
主演のアダム・ドライバーは、私も大好きな映画『スターウォーズ』の最新作『エピソード7 フォースの覚醒』で超・厨二病な敵役カイロ・レンを演じていました。
彼の役者っぷりを知ることになりますよ、『パターソン』では。
あまりおしゃべりではなく、表情もそんなに変わらない主人公”パターソン”。でも確実に感情が揺れ動いているのはよく分かる。
アダム・ドライバーのファンになるよ、これは。
私はこの映画が好きだ
(↑)劇中でも登場する詩集。
私はこの映画を観て、何も起きないこの映画が心の底から好きになった。その理由をいくつかご紹介させてください。
本当に、特に何も起きない
この映画、びっくりするほど何も起きません。
もちろん映画だから、映画らしい演出はあるし、現実で遭遇することはほとんどないだろうと思うような小さな事件はある。でも”映画らしい事件”は一切ない。
ただ淡々とパターソンが送る毎日を、私達は観るだけ。
それが何だか私には斬新にも思えたのでした。
繊細な演技に驚く
ただとてもすごいな・・・と思ったのは主演アダム・ドライバーの演技であって。
基本仏頂面で、人の話が耳に入って面白かったりすると「むふっ」て笑う以外にあまり変化はない。
だけど、動揺したり落ち込んだり可愛いなあって思ったりしてるのがすごく分かる。
その細かい表情や感情の変化に感動する作品でもあった。
淡々と、でも毎日が新しい
ストーリーももちろん素敵で。淡々と毎日ルーチンワークを続けるパターソンなんだけど、同じ日は一つとしてないんだな、ってことがよ〜く分かる。
同じように見えて違う。
同じように過ごしても少しずつ違う、それを楽しむことができるから人生は面白いのかな、なんて深いところまで考えたくなる。そんな映画だった。
詩に興味を抱いた1作
あとパターソンは、毎日”秘密のノート”に詩をしたためるのが習慣なのだけれど、詩に興味をもつ映画でもあった。
難しい言葉を使わず、単純な短いフレーズで言葉をつむいで。
私も詩を書いてみたいと思ったし、読みたいと思った。多分パターソンごっこをする人、私以外にもいると思う笑。
永瀬正敏さんにも注目
”日本から観光でやってきた詩人”という設定で、永瀬正敏さんも登場する。
彼の出演シーンは1シーンだけだけど、すごく良い役だった。たった1シーンの、何気なく登場する人なのにインパクトがあるだなんて、すごい俳優だ。
永瀬さん目的で観に行ってもいいような気がする。
とりあえず私は、この映画が好きか嫌いかの結論は人それぞれだから良いとして、一回試しに観てほしい映画だと思った。
誰かとパターソンごっこがしたい。
優しい気持ちになりたい人は、観てほしいな。
では。
◆本日の一冊+α◆
パターソンに登場する詩集
日本語訳はないと思うけど