こんにちは、齋藤吐夢です。
ゴジラファンでも、庵野秀明ファンでもない・・・いや、庵野秀明ファンではあるけどオタクにはなりきれなかった1人の女が、『シン・ゴジラ』について語ります。
傑作なのか駄作なのか
個人的には『シン・ゴジラ』に大興奮でした。私はこの映画を素直に面白いと評価しました。公開初日に見に行った時、隣に座る青年2人が、エンドロール後に鼻息を荒くして語り合っていたのが印象的でしたね。私も参加したかった笑。
ただ「大傑作か」と問われると首をかしげます。
だからといって「駄作」とも言えない。
物凄いパワーは感じたけれど、もしかしたらトータル★3つな”普通”の映画なんじゃないかとも思ってます。
傑作と言うのであれば
もしこの映画を「傑作」と評するのであれば、以下2点が素晴らしかったと感じています。
1.ゴジラのビジュアルが凄い
予告編鑑賞の時点では、あまりにも長い尻尾を観て「現実的じゃない」だなんて夢をぶち壊すような発現をしていた私ですが、映画にて、その強烈な見た目にびびりました。そして大興奮。
私は第2形態、通称「蒲田くん」が大のお気に入り。
映画館で観る虚構の世界だからこそ、大興奮して観ることのできるビジュアルですが、正直、現実に現れたらおしっこ漏らすレベルで怖すぎる。
徹底されたビジュアルに大興奮した後、豊洲やお台場に足を運ぶ機会があったのですが、しばらく「ゴジラが今、現れたら」という想像をしてしまって、怖かったですね。
2.破壊描写の中にある死のリアルさ
非常にゾッとする演出で、凄く良かった。二度と体感したくないけど、映画の世界の中で、あんなにもゾッとする死の演出が出来る映画はそうそうない。
通称「311」、東日本大震災の恐怖を知る私達からすれば、映画でゴジラが破壊していく街の中で、直接描写はなくとも人が亡くなっている事実は伝わる。そのわざわざ映さずとも、誰かが”天災”によって亡くなっている事実がとても怖くて。
死のシーンを「良かった」という言葉で表現するのもどうかと思うのですが、派手な死のシーンがほとんどないのに、確実にゴジラによって人が死んでいった事実が理解できるのが怖くて良かった。
静かすぎる死のシーンが、壮絶すぎて良かった。
駄作と言うのであれば
もしこの映画を駄作と評するのであれば、以下2点についてお話させてください。
1.オタク・マニア向け映画過ぎた
”安心して観ることのできる”という前提をエンターテイメント映画だと定義づけるのであれば、『シン・ゴジラ』はエンターテイメントではなかったと考えています。
完全なオタク・マニア向け映画だったと思います。
ゴジラの歴史を知っている人や、庵野秀明ファンであれば、彼が生み出した全く新しいゴジラに興奮することもできると思いますが、ゴジラによる街の破壊描写とそれに立ち向かう人々の姿を映すエンターテイメントと呼ぶには“重すぎた”。
2.ゴジラは主役ではなかった?
例えばエンターテイメント性で言えば、2014年に上映されたリメイク版ゴジラ『GODZILLA』のほうが高かったと思います。ゴジラの登場シーンはそこまで多くなくても、ストーリーの終盤はゴジラが主役でした。
『シン・ゴジラ』は人間ドラマが重視されていて、戦う人の姿がメインとなって映されていました。
それはそれで確かに興奮するのですが、いわゆる”ゴジラ”を求めていた人には不満なんじゃないかと。丁寧な心理描写や人物描写は素晴らしいと思いましたが、映画らしさは生まれていないのでは?と考えています。
傑作?駄作?あなたはどっち
ただ・・・どちらにせよ、一世を風靡した作品であることには違いないと思います。傑作か駄作だなんて関係なく、『シン・ゴジラ』は『シン・ゴジラ』として、日本映画界に君臨したと思うのです。
トータル★3つ評価な映画だったとしても、少なくとも私は、目が釘付けになったよ。
では。
◆本日の一冊◆
最後に映し出される尻尾のシーンの真相を知り、ぞっとしました。