【本紹介】田村隆一がただただ格好いい・・・。“言葉なんかおぼえるんじゃなかった”

スポンサーリンク

こんにちは、齋藤吐夢です。

 

映画「恋の罪」で、登場人物の女性教授が読む詩がある。

 

言葉なんか覚えるんじゃなかった。

言葉のない世界。

意味が意味にならない世界に生きてたらどんなに良かったか。

 

映画自体も頭に残り続けているのですが、この詩がずっと頭を巡り続けている。

 

 

『言葉なんかおぼえるんじゃなかった』

f:id:tomu_saito:20170907175542j:plain

 

本屋に平置きされていた本の中にこの本を見つけた。

 

大好きな映画『恋の罪』で女性教授によって音読された詩の一説が表紙にでかでかと書かれている。

 

大好きな詩だと感じていたので、見つけた時とても感動した。

 

詩人・田村隆一、ひたすらに粋

この本の冒頭は、田村隆一の詩ではなく、この本の企画を立ち上げた作家と田村隆一のやり取りが描かれている。

 

作家の長薗安浩さんによる”田村隆一”を理解するためのメモ、そして彼に取材をした日の出来事などが描かれているが、田村隆一はただひたすらに粋なのである

 

型破りなダンディズム

 

と作中にあるが、確かにこんな男性がいたら、異性だろうが同性だろうが心惹かれるだろう。茶目っ気のあるダンディな男である。

 

ウイスキーのお話が面白い

例えば田村さんは医者にも奥様にも止められているにも関わらず、いつもどおりに酒を求める。田村さんは長薗さんに命じる。

 

ウイスキーをかすめてきてくれ、水はトイレから拝借しろ。

 

長薗さんも長薗さんで、奥様が外へ出かけて行ったのを確認してこっそりかすめ、共に飲み、酔いと興奮がまわり「詩は時限爆弾ですよ!」と田村さんに伝える。

 

「爆弾か、ずいぶん物騒だな」

「だって、先生の詩、言葉なんかおぼえるんじゃなかったではじまる『帰路』、僕は高校生のときに初めて読んで、十六年以上も忘れていたのに、ふっと思い出して胸がざわつくんだから、危ないよ」

「そうか・・・・・・」田村さんは新しい煙草に火をつけて美味そうに一服した。

「ちょっとは、君も詩がわかったな」 

 

この後、案の定奥様に見つかって二人ともこっぴどく叱られる笑。

 

でもこの最後のオチと、「君も詩がわかったな」というキザな台詞が何とも愛おしくて格好いいと思った。

 

紡がれた言葉が心に刺さる

彼の書く詩は心に刺さる。

 

でもその刺さり方は決して乱暴な刺さり方ではない。紡がれた言葉を読んでいると、「ああ、そうか」と何だか合点のいくような、とげとげしくない刺さり方をする

 

例えば結婚をテーマにしたお話。

 

「本当に結婚して良かったのだろうか」と私は時々迷うことがある。でも、そんな想いをも肯定してくれるような言葉が、この本には詰まっていた。

 

結婚しなければわからない―――結婚が難しいのは、これに尽きる。~互いに性ホルモンに突き上げられて結婚するんだよな。だから、まずアドバイスとしては、一年間は子供をつくらないこと。一年あれば相手の実態がわかってくるから、その間にパートナー、つまり共同生活者としてやっていけるかを確認するんだ。夫婦ってのは、最小単位のコミュニティだから、パートナーとして組めなければどうしようもない。

 

”結婚しなければわからない。”

 

さも当たり前のことのように言ってのける、彼の飄々とした姿が想像でき、まんまとしびれてしまうのだった。

 

詩人・田村隆一を知ってほしい

近年、詩を読む機会なんてほとんどないに等しい。”歌詞”は存在するが、聞いていない人がいるのも事実だ。文字として紡がれた想いに読みふける機会はもうあまりない。

 

ただそれでも、田村隆一の詩を知ってほしい

 

私は、詩に載せられた彼の感情や想いの全てを読み取ることは叶わなかった。それでも、今の自分の心境にぴたっとハマる詩を見つけることができた。

 

田村隆一はただただ格好いい。彼の言葉にしびれてほしい。

では。

 

◆本日の一冊◆