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【良作小説のススメ】日常にちょっとのスパイスを。老人たちの愉快なシェア生活。

こんにちは、齋藤吐夢です。

 

小さな頃から本が好きでしたが、会社に勤め始めてからというもの、専ら自己啓発本や新書ばかり読むようになり、小説からしばらく離れていました。ですが、久しぶりに小説に手を出したらものすごい良作に出会いました

 

『何度でも、おかえりを言おう』

バルバラコンスタンティーヌというフランス生まれの作家さんの作品です。海外の小説の翻訳本は今まで実は苦手意識がありました。登場人物が横文字だと覚えていられないからです笑。ただこの本の場合、登場人物説明欄が設けてあるので忘れても安心

 

ストーリー

偏屈な老人フェルディナンは息子夫婦に見放され、広い家にひとりで住んでいた。近所のワケあり未亡人を家に住まわせてやることにしてからというもの、秘密や事情を抱えた老人が続々と集まり、居心地のいいシェアハウスを目指すが・・・。

 

シェアハウスストーリー

シェアハウスの文化って着々と馴染んできてますよね。私は観ていませんが『テラスハウス』もシェアハウスの分類でいいのよね笑?親族でもない恋人でもない、一見すると接点のない人達で集まって暮らす、こういう文化増えてきたんじゃないですかね。

この物語では、あるワケあり老人をひとり家に住まわせてからというものの、どんどんとにぎやかになっていきます。しかも物語のベースは老人です。ですが、老人たちは皆若々しくパワフルです。互いに老人なのに「坊や」って呼ぶ人も出てくるしね笑。

 

もちろん物語の途中途中に若い世代も参加してくるのですが、その世代別の描写も丁寧です。この小説家さんは、色んな年齢の時に思い浮かんだことを大切にとっておいたのでしょうか。8歳の描写と80オーバーの方の描写が書き手は同じはずなのに別の人の心のようで感動しました。

 

頭に浮かびやすい情景描写

私が「この本読みやすいな」と思う小説は想像力がかきたてられ、ごく自然に描写が頭に浮かぶものが多いです。言葉遊びや難解な文章が並ぶ作品も好きですが、感情が揺さぶられるのは想像のしやすさと比例するんじゃないか、とも思うくらい。

この作品は本当に、フランスの片田舎になんか行ったこともないのに、一生懸命想像力を働かせる必要はなく、ごく自然にフェルディナンの広すぎる家が浮かび、隣の家の家庭農園の風景が浮かび、主人公たちの微細な表情が浮かびます。

まるで映画やドラマを観ているかのような感覚で楽しめるので文字を追っても全く疲れることはありませんでした。ストーリーはネタバレになっちゃうから一言も触れられないけど、もう第一項からふわーっと頭に映像が広がる感覚です。

 

日常はやっぱり面白い

ストーリーはネタバレになっちゃうと書きつつ、ネタバレしたところで大どんでん返しがあるわけでもありません。ただ日常生活にちょびっとスパイスを加えたような虚構の話。でも、もしかしたら近い話は身近な人の周りで起きているかもしれません。

こういう人いるいる、こういうことあるある、と言った日常生活そのものの面白さがにじみ出る作品でもあるので、静かに変貌していく日常の面白さが好きならたまらない作品です。

 

これからの「家族」

上にも書きましたが、これは一種のシェアハウスストーリーで、これからの「家族」の形を書いているような作品です。血のつながりだけが「家族」ではないことを教えてくれる作品です。人と寄り添って生きるって尊いなあ・・・って思いました。

 

まだひよっこの25歳のくせに笑!

 

フランスを始め、ヨーロッパで人気が広がった作品ですから、確かに日本ではあまりなじみのない風景、描写も描かれますが、それでもテーマは一貫して「家族」です。それにしても、人とのつながりって大事だなあ・・・笑。

 

では。

◆本日の一冊◆

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